地域おこし協力隊通信
地域おこし協力隊通信vol.1
令和6年度、洞爺湖町の町内宿泊客数は645,881人泊、平均消費単価は70,114円で、年間観光消費総額は約453億円にのぼります。しかし、町民が暮らしにくさを感じて転出が進むと、空家や耕作放棄地が増加し、地域文化を支える人手も減少していきます。結果として、地域の手入れが行き届かず、田園風景や街並みの味わいが失われるだけでなく、夏祭りなどの伝統的な祭事が縮小や中止を余儀なくされます。これにより、観光客の滞在動機を支えてきた「透き通った湖面に映える四季の風景」や「地域住民が織りなすおもてなし体験」が薄れ、訪問客一人当たりの消費が減少していきます。仮に5%消費が減少すると、宿泊客だけで約22.6億円の売上が失われます(645,881人泊 × 70,114円 × 5%≓22.6億円)。さらに、日帰り客を含めた全体では30億円規模の損失が見込まれます(観光客自体が減ればこの比ではありません)。また、住民減少に伴う税収減がインフラ更新投資の足かせとなり、劣化した道路や公衆トイレ、観光案内所の設備不備が「安全・快適な観光地」という評価を損ないます。
町民が安心して暮らせるように洞爺湖町の経済価値が地域に還元(再投資)されることは、持続可能な観光地経営には不可欠なのです。